2015年6月20日土曜日

北海道博物館:テーマ2

みなさん、イランカラテ ー!ロスリンです。

実は先々週北海道博物館(旧北海道開拓記念館)に行きました。あまりにも忙しくて、報告が遅れてすみません。

自分の研究発表のおかげで、博物館の学芸員、甲地さんに知り合ったので、今年リニューアルした博物館に見学しに行きました。甲地さんはアイヌの無形文化、主にウポポの研究者で、とても優しく案内して頂きました。途中、アイヌ 口承文芸(特にウエペケレ)の学芸員、大谷さんも参加して、2人もテーマ2の「アイヌ文化の世界」についていろいろ説明して頂きました


ちょっと背景として、アイヌ民具や歴史に関する展示に対する議論を説明させて頂きます。

アイヌの歴史、生活、文化に関する展示は昔のままの姿を表し、近現代または現代のアイヌ民族に関する展示が少ないため、今はもうアイヌがいない、或はアイヌはまだチセの中に暮らし、狩人の生活を送っている誤解を起こりうることがあります(1の文献を参照)。

もうちょっと1990年代に遡りますと大阪民博のアイヌ展示に関する論争がありました。それはネイセンというカナダの学者が民博にあるアイヌ展示に関する批判と民博学芸員の大塚と清水の反論です。
簡単にまとめますと、アイヌの伝統的文化ばかりに注目し人権問題や現在の事象に触られていないというネイセンの批判に対して、アイヌ民族との共同作業または賛同を得てできた展示という民博の学芸員の反論でした。

話は長くてややこしくなりますが、要するに博物館という物の特徴は、学芸員という展示を作る人、先住民など展示される人、と来館者という展示を見る人です。
いくら作る側と見られる側が共同作業していても、来館者の解釈を何処までコントロールできるかは問題ですし、自由の解釈と積極的な学習は現在博物館の傾向です。

ここで来館者として「テーマ2:アイヌ文化の世界」に対する感想を述べたいと思います。もちろん、甲地さんと大谷さんもつき合ってくれたから、普通の来館者より一層の楽しさと理解ができたということをご了承ください。

一番印象深くて、面白い展示は五世代の仮想の物語です。主人公、小学生4年生の「ぼく」は去年学校で「自分の家族の歴史を調べましょう」という宿題が出て、九州生まれのお父さんの方を調べたがアイヌのお母さんを調べなかったことに気になってお母さんの方の家族歴史について聞き始めました。ここでちょっと引っかかったのがなぜお父さんの方を選んだか、そして結果として自分がアイヌの血を引き継がれたことは家族以外の者に知られていないじゃないかということです。それはなぜという質問を考える人がいるかどうか分かりませんけど。

この展示はぼくの家族の歴史を通して、本当の出来事や人物の話しを織り込まれ、すごい身近い感じをさせます。物語はぼくのお婆ちゃんのひいお爺さんとひいお婆さんからはじまり、伝染病、サケ狩りの禁止、一つの家族の歴史を通して、アイヌ民族に遭った差別や文化振興と権利主張の努力を描かれています。


甲地さんによりますと、小学4年生の学校遠足でよく訪れるから、物語の主人公も小学4年生にしたらしい。そして、会話ボックスに赤くした字は注目して欲しいところです。



ぼくのお母さんの話しの中に新札幌駅の写真があって、お母さんは仕事していた時の中の一つの思い出です。地下鉄を使った来館者は必ずここを通すので、この話しの人物は自分の周りにいるかもしれないというメッセージを伝えたいらしいです(大谷さんの説明)。

テーマ2は「現在を知る」というぼくの物語以外、「伝統を学ぶ」「言葉を聞く」「歩みをたどる」というセクションがあって、全体的な印象では、歴史と文化を教えながら、現在の儀式の姿、または無形文化に活躍している方々などが描かれていて、博物館におけるアイヌの表象に対する問題を対応しようとしている努力は明らかに見えます。

「言葉を聞く」には豊富な動画があって、私は結局何時間もそこにいました。ということで、テーマ2しか紹介できないけど、皆さん、お時間があったら是非行ってみてください。

ちなみに留学生は無料です!^_^

1)本多・葉月「アイヌ民族の表象に関する考察ー博物館展示を事例に」放送大学研究年報 第24号(2006)pp.57-68
佐々木 「博物館民俗学とアイヌ民族文化展示の評価に関する考え方」東北アジア研究 第4号 (2000)pp. 65-80

アップデート:大谷さんのお名前を間違ったことをお詫びします。

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